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マツシマクラシックカーマガジン

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古い車を日々使う気分と、不安や心配の一例?

2025.02.11
 マツシマクラシックカーのマスコット社用車、1990年式メルセデス・ベンツ190E。走行34万㎞余り。片道20㎞の通勤と業務で走り回り、1カ月のマイレージは1500㎞以上。この日常体験が、クラシックへの興味につながることを願ってつづってみます。

古い車と始まる朝のルーティン

 朝一番。鍵穴にキーを入れてそっと回し、ガチャンとドアを開けてガシンと乗り込む。エンジンスタート前に、ブレーキをしっかり踏み込み「エアコンオフを確認の上キーを捻って」スタート。キュキュキュ・ブルーンと2000cc4気筒エンジンが始動。
 ブルブルと低くて太いエグゾーストを聞きながら「今日もお願いします」と念じながらDレンジにシフトすると「カクン」とつながる。そしてサイドブレーキ解除……。など一つ一つの操作に「自分の感覚を駆使する」ことが刷り込まれていきます。それが面倒なのか、それとも古くて不便なものを自分のルーティンに組み込んで使いこなす楽しさと思うのか。

車から伝わるフィーリング

 重くて渋いフィーリングのアクセルを踏み込んで走り出す。エンジンとオートマチックオイルに熱がいきわたるような「準備運動運転」を続けていると、滑らかな作動に変化。熱が入り切ってシフトショックが変化する瞬間に意識が傾かずにはいられません。大きなステアリングを切るとサスペンションがコトコト、キシキシ。ブレーキを踏むと大きなブレーキ泣き。20㎞からの目盛りを刻むスピードメーターは、コツコツと音を立ててフラフラと上昇し、40㎞あたりからはビシッと安定。フューエルメーターは傾斜によって上下。「機械仕掛け」ならではの実直な作動も「古い」と感じるのか「今日もきちんと動いているな」と思うか……。
 水温が90度に達して、バイパス合流にアクセルオン! 重みを伴った回転フィーリングの上昇に合わせてスルスルと速度が上がると、不思議に心が落ち着き、運転に集中する環境が整う感じがします。セダンタイプながら大きなフロント、サイドウィンドウによる明るい視界。重めのアクセルのオン・オフに合わせてパワー調整できるのは、現代のターボエンジンにはないナチュラルなフィーリングです。「細くて小径のタイヤ」「柔らかいスプリング」「強固でかっちりしたボディ」「たっぷりとしたシートクッション」「コンパクトなボディサイズ」が相乗し、私のアクセル・ブレーキ・ステアリング操舵に素直に、力強く、ゆったりと反応してくれます。

新しい発見が楽しい

 さて、良い事ばかりを書いていますが現状困っていること、思うところは
■ハザードランプスイッチの故障→自分で部品交換
■ワイパーの動きが時々スローに→様子見中
■助手席ドアのキャッチから異音→開け閉め時に引っかかるので調整予定
■ライト消し忘れ警告ブザーが時々ならなくなる→様子見中
■冷間時のサスペンションからコトコト音→暖かくなれば消えるかも
■盛大なブレーキ鳴き→個人的には気にしていません。故障ではないので。
燃料タンクが小さいので毎週1回、500㎞で空っぽになる。1リッターで10㎞~11㎞の燃料消費がもう少し伸びないかな、などがあります。

結論としては

 最新のクルマと違っていろいろな事があります。毎日乗るならなおさらです。しかし1990年当時、190Eは「最新のクルマ」であり、最新技術を結集して作られ、多くの人の愛車となって活躍していました。当時の人はどんな気分で乗りこなして満足していたのかが手に取るようにわかる。本当に楽しいことです。メルセデスに限らず、懐かしい感情や優越感だけでなく、自分の行動や感覚にも変化が出ます。カタチがあって、動く、音がする、匂いがする、運転する実体験は、代え難い経験として積み重ねられるのかもしれません。過去と未来をクルマを通じて繋げる、そういう楽しみを興味ある方にお届けしたい、と確信しています(少しお金はかかりますが)。ぜひご検討の一助になればと願っております。